OB総会・ONの時代


体調不良による会長の辞任から、活動が一旦停止していた母校の射撃部OB会であるが、新しい人事を主眼に4ヶ月遅れでようやくOB総会が開かれた。
今回は久しぶりに、大学の会館を会場にしての開催である。


総会の開催・部誌の発行・現役の金銭的な支援、で活動のほぼ全てである。自ずと総会の内容も、成績報告・決算報告・役員改選でほぼ尽きる。


先週末にあった秋の学生選手権で、わがチームは「復活」といえる成績を挙げた。
逐一届いたメールでの速報を見ながら、これはついにやったな、と唸らされた。


総会で早速、M主将から活動報告があったが、数年続いた暗黒時代からどう変わったのか、しっかり彼なりの考えが述べられた。今回の好成績の中にも見え隠れする層の薄さや、他チームに比べてどう弱いかを分析したデータもつけられていて、これまでに例のないとても充実した内容の報告だった。
1回生の時から期待をかけてきた学年であったが、私はさっぱり指導に足を運べないでいた。
それが、この学年の部員たちだけで、3年かかってしっかり再建してしまった。


合宿のメニューを組んだり、不祥事や問題の整理に手を貸した以外に、コーチらしいことができなかったことを詫びると、
「再建は自分たち部員でやらないと、本当のところはできないものだと思います」
と、はっきり言われてしまった。


このごろは駄目になった、と学生がらみの射撃の仕事をしながら口を衝いて出ることが多かったけれど、長い目で見るとこんな学年が現れるのだから、大したものだなあ、と久しぶりに感心させられた。


夜、「ONの時代」というNHKスペシャルが放送されていて、見入ってしまった。


長嶋茂雄氏本人の「告白」と当時を知る人々の証言は、決して観客の夢を裏切るまい、とイメージに殉じることの壮絶さを物語っていて、固唾を呑むようにして聞き入った。
これまでに抱いてきた太陽のようなイメージに、さらに凄みと厚みが加わる心地がした。


王貞治氏とともに対峙してきた、「イメージ」を必要とした観衆の熱狂と、それに何が何でも応えなければならなかった時代の幸福と凄まじさが少しわかったような気がする。


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