入会希望者


全国クラブ対抗戦で、昨晩遅くから藤枝に入っている。
仕事のあと、夕方6時ごろに出たのだが、連日の生徒への説教や懇談が身体に応えているのか、それとも衰えたのか、4-5時間の運転がとても辛かった。予定外のPAにへろへろで滑り込んで、30分ほど寝入ったりしながらの到着だった。


これまでに使ったことのない焼津のホテルだったのだが、価格が安い上に施設は新しくてきれいで、朝ごはんも目の前で焼き上げられていくパンとサラダのバーが豊か、となかなかよい。


朝一番の射群で50mの三姿勢を撃つ。
389・376・362の1127。
西日本から、膝射について部屋で気休め据銃をしただけである。
結果も忠実にそれを反映している。
実態がパフォーマンスに素直に反映されている、というそのこと自体はいいことだと思う。
負け惜しみだけど。
膝射はあの程度では再構築できない。量はともかく、何か「なるほど」という根本原因にたどり着くことが必要なはずである。


大した点数ではないが、伏射と立射は、軌道に戻った手応えを感じた。
発揮しようとしている技術自体を、間違いなく出せている、という感覚がある。出そうと思って違うものが出てきたり、何か想定外のものが邪魔をして出せなかったり、ということは、40発を通じてなくなってきている。


しかし、点数が命の団体戦としては、もう少し何とかしなければならないな、という反省は深い。
こればかりは試合当日だけでは、どうにもしようがないことである。


さて、クラブ対抗は自分が撃つ以外で、いろいろと楽しく忙しい試合である。
普段の試合では、堂々とのんびり話する、なんて雰囲気はあまりないが、この大会は「社交」の場としての意味合いが濃厚である。
この大会でしか会えない人々もたくさんいて、それほど社交的でない私も、会場内外のあちこちでたくさんの人と会話を交わす。


今回は、HPを通じたクラブの入会希望者がいるということで、夜に海外に出かけているクラブの会長に代わって、面接をすることになった。
この大会中に、ということになったのは、開催地と時期的な偶然によるものでしかないのだが、これもなんだかこの大会に似つかわしいような感じがする。


チームメンバーのTくんと早めに夕食を摂って、待ち合わせ場所に指定された宿舎のロビーに緊張気味で向かった。
地元のコーチについて射撃を始めた、という女の子で、ご両親が銃種は異なるものの射撃を熱心にやっておられる、とのことだった。
結果的には「三者懇談」みたいになったのだが、「保護者」の熱弁にこちらが圧倒されて、その隣に座っている肝心の本人の思いや考えはほとんど引き出せずに終わってしまった。

射撃について才能豊かであることと、物静かであることは間違いなさそうだが、ライフルに向ける思いの程度すらよく汲み取れず、面接官失格だなあ、とちょっと情けない気分になる。
「本人とお話がしたいのですが」とも言い出しかねて、ただにこやかに会談を終了した。
…結局、会長に帰国後判断を仰ぐことになる。
難しいものだ。


[fin]