Tくんを指導する(その2)


件のプロジェクトの選手指導をする日だった。
Tくんとは、駅で待ち合わせて、そこから射撃場に向かう約束をした。


土曜日であるが、保育園では園外の人たちを対象にした「体験保育」があるというので、いつも通りの時間に娘を送り届け、そこから待ち合わせの駅に向かう。
随分な移動距離なので、時間通りにうまく運ぶか心配していたが、うまく合流して射場に行くことができた。


前回、Tくんの大学射場で行ったときは、Tくんの先輩たちに気を遣う必要があったが、今日は大丈夫だ。


前回、随分と苦言を呈しておいた「射撃ノート」は、きちんと言われたことを守って書かれるようになり、大きく変化していた。
メニューについても、基本的な内容に重点を移すよう、具体的に指示を出していたのだが、忠実にやっているようである。
先週の学連試合では、復調を示す結果が出ており、私としてもほっとした。


つき返していた5月の海外遠征の分析も、新たに書き直してきていた。
反省の材料とすべき重要なポイントが、時間が経ってしまったために失われていることを指摘する。何が将来に向けて糧となりうる情報か、というようなことを話す。
今回書き直された分析から、彼の特徴的な10点の内容が初めてわかり、そのおかしさがひっかかる。
得点の低さの割にやたらインナーテンが多い。
どうも境界の10点が拾えていないようだ。
フロントリングのサイズを尋ねると、案の定やたら小さい。
変更を試させることにする。


ひとまずは、今月末の西日本選手権がターゲットマッチである。
今回の変更による違和感が拭えるかどうか、実戦形式で確かめておきたいので、急遽明日の月例会に参加させることにした。
ひとまずはスランプを抜け、順調な軌道に乗ってきたようなので安心である。


私自身も、指導の傍ら、少し練習した。
先日、小田伸吾氏の本の記述をつらつら思い出していると、私自身の銃を受ける肩の遣い方に、いくつか矛盾する方法が混じっていることに気がついた。
これまで少し嫌っていた「前で捌く」感じの方法が、どうもそれらの矛盾を解決するかも知れない、と思えてきたので、それをアレンジする試行錯誤をした。
見通しは悪くない。


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