保育時間をとって送迎する


相方が、今日から修学旅行の引率にでかけた。
実家の力も借りつつ、子供の方に軸足を置いた三日間となる。


これまで幾度か保育園に足を運んできたが、仕事前に私一人で送迎するのが、まずは初めてのことだ。


朝、まだしんとした園舎に、早くにきてほうきをかけている先生がいる。
あいさつをして濡れ縁から上がったら、娘を床に置いて、着替えの補充をする。
もうすっかり慣れている娘は、ああ、着いたな、という感じで好きにしている。
連絡帳に、昨日の就寝時刻や夕飯の内容などを思い出しながら記入する。
汚れ物を放り込む袋をセットして、娘をパンツに履き替えさせたら支度は完了だ。
じゃあ、行ってくるね、と園舎を出ると、少し悲しそうな顔をするが、ばいばい、と手を振ってくれる。


3日間だけ、私の方が保育時間を取っている。朝に30分、夕方に1時間という配分だ。


しかし、本より定時に絶対に仕事は終わらないものを、定時よりさらに1時間半も削って日々を凌がなければならない。
この3日間に向けて、段取りはしておいたものの、普段からあまり切れ目のない仕事が、さらに分秒刻み、という感じになる。


定時の1時間前に職場を出るのは、なかなか気を遣うもので、どうしてもその通りにはいかず遅めになってしまう。
しかし、園に預けていられる時間は限りがあるので、えいっ、と出てこなければならない。


夕方の園庭は日の名残の中、学童の子供たちも加わり、終わりの近いにぎやかさがちょっとしたクライマックスを迎えていて、その光景には郷愁のような切ない感慨ををかき立てられる。
土の山や水場で、他の子供たちに混じって遊んでいるところへ迎えに行くと、あれ来たの?というような顔をしてから、嬉しそうに近寄ってきてくれた。


車内では、まだはっきりした言葉は出ないけれど、「なにしたの?」、「何食べたの?」いろいろ尋ねてみる。
むにゃむにゃと、いろいろ「おはなし」してくれるので、「へー」とか「ほー」とか相槌を打っているうちに帰り着く。


母が、食事を用意して待ち構えてくれているので、娘と一緒に早めに夕食を食べる。
先に自分の食事が終わってしまう食欲魔人の娘は、他の人が食べていると、それを食べさせてくれー、と大変だったのだが、だんだん満腹中枢ができてきたようで、デザートとはっきりわかるものを食べると、食欲が一段楽するようになった。
歩けることが嬉しくて、ひとりぐるぐると廊下と部屋を回遊して、遊んでいる。


保育園ですでに相当に疲れているはずだが、最後の体力を使って陽気に過ごしているところを、風呂に入れてしまう。
風呂を上ると、ちょっとぐずるものの、10分も格闘すると寝付いてくれた。


母親が不在で、彼女にしてみれば自宅に帰らずに祖父母の家に来ている、という状況なのに、いつも通りでリズムを崩さない。
大した環境順応力だと、感心させられる。
娘のタフさに助けられる3日間でもありそうだ。


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