ウェイトコントロール

バットプレート



SBは銃身が重い。高く持ち上げる上に小さい支持面でバランスを保たねばならない立射では、細工なしにそのまま構えると、その重さに振り回されてしまうことが多い。


重い銃なのだから仕方がない、とうまく構えられないのを自分の「非力」あるいは「技術のなさ」に帰していたが、数年前、その長い年月がまったく馬鹿馬鹿しいものであった、と気づかされた。


(やってしまえば実に簡単なことなのだが)後ろに錘を足してバランスを改善すると、トータルの重量は増加しても、銃全体は軽く感じられる。
いい結果が見込めないかもしれないと思っても、こういう「可能性」については、思いついたときに一度は、効果を確かめるために実験してみるべきである。


学生時代からARでは、規定違反になるくらいにまでこれを試したことがあり、現在でも私のARは、軽量なはずのラミネートストックなのに、規定いっぱいに近い重量である。
なのに、SBで長らくしてこなかったのは、ARより単純に1.5kg程度重いその重さにおびえていたためだ。
学生時代に50m競技を始めたころから、ノーマルでもその重みを受ける左手に痛みを感じるほどで、さらに重くすることは思いもよらなかった。


その癖に、(費用が掛かる上に、許可修正の手続きも必要なのだが)銃身をライトバレルに変更したり、フルートを入れて軽量化したりすることについては、真剣に検討していた。


2年前にライトバレルの注文を真剣に検討して、一応その前に出来ることは全部一度試しておこう、とブレストサポートを自作して取り付ける改造に加え、バットプレートに大型のウェイトを取り付ける実験をした。
そのお陰で、トータルとして250gも重くなっているのに、コントロールが容易になり軽くさえ感じることを体感することになる。
トータルの重量よりも、バランスが与える影響の方が大きい、ということを、初めて身をもって知った。
…ライトバレルは結局注文しないことになった。


この発見の後、生活の変化などで、50mはあまり練習できなくなり、その効果の手応えほどには結果を出すこともなく、ここまで来ている。


10mに競技のウェイトを偏らせて凌いでいるうちに、これが幸いして技術上の整理と発見が進んだ。
パフォーマンスの様々な部分について、自分がどうしたいのかが明らかになってくると、極々たまにある50mを撃つ機会に、ちょっと後ろを重くしすぎていることが薄々わかるようになった。


今日、ホームセンターに行ったついでに、現在使っている、「1kgのダンベルのウエイト部分(写真右上)」に代わる錘になりそうなものを物色した。
水道管の部品売り場で、鋳物のジョイントがちょうど100g前後で使えそうだったので、買って帰った。
長いネジを金鋸で必要な長さに切り、ワッシャーやゴムのリングを組み合わせて取り付けてみた。
キャップのパーツをはずせば軽く、中に何か詰めたりすれば重く、といろいろな重量に調整できる優れものになった。
…ただ試しに構えてみると、残念ながら、キャップなどの部品を何もつけない、一番軽い状態が狙っていたバランスのようだ。


へんな共鳴がないかなどは、撃ってみないとわからないが、ひとまずはいい改造ができたようだ。
今度こそ、ARのようにSBを撃てるだろうか。


[fin]