6年ぶりに

中はすっかり



最後に行ったのは2003年の夏だった。
その後2回のオリンピックが過ぎ去り、そこはどうなっているかしら、と懐かしさの影に不安も抱えながら思い出すことは幾度もあった。
そこで得た財産を、細々とではあるが育てながら今の私の射撃はある。


先日の全日本選手権で久しぶりにFさんに声をかけられた。
Fさんは、流星群や彗星のように、何も音沙汰のない長い時間を挟んで、ぽつっぽつっと手を差し伸べてくださる。
そのタイミングが不思議と、私の中で、外面的な成績だけではおそらくわからないような、内面的なあるきっかけと一致する。
たとえば、技術面のあるステップが落ち着いて新たな問題がぼんやりと見えてくるとき、とでも言えばいいだろうか。
縁、なのだろう。
間をおいてお会いするたびに、主とするテーマや仕事が変わっているのはいつものことで、毎度、驚かないが驚かされる。


思い返せばずっと課題であったはずなのに、今回の全日本のファイナルでようやく気がついた、という弱点がある。
その解決の端緒を得られるかもしれない、という話になり、招きに飛びつくようにして応じた。


そこは、すっかり変わっていたが、変わっていなかった。
6年前にお世話になった人々が6年分の年輪を加えてそこに在り、さらに新しい人々が加わって、違った形で同じことを追求していた。


2日間で、読み取るようにして学ばせてもらうことができた。
新奇なことを学んだわけではなく、かつてもてはやされるように取り上げられながら、ブームのように置き去られた物の中に本質があることを知った。それが置き去られることになったのは、それを個別に「使えるもの」にすることの中に、記述されないノウハウがたくさんあることを知らず、「あまり使えない」と軽率に判断してしまったためであるらしい。


知っていたけれど、遠ざけていたものが、全く色を変えて私に迫ってきた。
得るべきツールについて見当をつけて、明日帰る。


[fin]