出会い企画


相方のお腹はずいぶん大きくなり、中から時々元気に蹴ったり押したりするのがよくわかるようになってきた。
生まれてくるまでに依頼されてる「出会い企画」をしておかなくちゃね、ということで、私の大学時代の後輩Iくんと相方の前の職場の同僚Rちゃんを家に招いた。


Iくんとは部の同期会で最近会ったけれど、ゆっくり話すのは久しぶりだった。はや10年以上前になってしまった、忘れかけていたいろいろなことが思い出されて楽しかった。
相方の知らないエピソードがもちろん多く、当時の証言は私にとってもなかなか新鮮だった。


相方とRちゃんが腕をふるったエビチリや餃子、ナムルやスープは、なかなか美味で、男ふたりはビールも傾けて賑やかにいただいた。
古き善き会社文化の保たれた、研究者が多く住まう寮で送られるIくんの生活の話は、どこか懐かしく趣深くて、とてもよかった。
初対面の人を前にするとなかなか喋れないというRちゃんもうちとけて、相方の思わぬ過去のエピソードをいきなり打ち明けて、あわてさせたりしていた。
途中掛でかってきた「光電話」のセールスに真剣に対応してしまったために、私はかなり席を外していたのだけれど、終始なかなかいい雰囲気だったみたいだ。


あっという間に夜は更け、二人は一緒に帰っていった。
うまく行くといいんだけれど。いずれにしても二人はそれぞれにわが家の大事なお客さま。また気軽に遊びにいらっしゃい。


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