詫びる


関西の大学チームすべてが会する秋季大会最終日。わたしはコーチを務める母校の部が春先に起こした不祥事の説明とお詫びのために、代表者会議に赴いた。


スポーツの技術を伝達することは、もちろん難しいことだが、規律や組織の動かしようを維持させることも、なかなか容易なことでないことを、今回の件で思い知った。
普段ほとんど顔を合わせる機会もないまま「指導者」として立っていることに、根本的な問題があると言えばそれまである。しかし、これまで紆余曲折はあったものの、最低限の常識やその他の様々な共通理解が部の文化を裏打ちし、「アドバイザー」的な関わりだけで、私たちは「指導者」たりえてきた。


しかし、善悪や理屈は何とかなっても、「事の深刻さ」といった「温度感覚」を要することが、うまく共有できなくなってきたようなのである。どれを優先して行動するか、どの程度真剣に急いで取り組むべきなのか、といった部分に、違和感を感じることが増えた。「そんなの常識に照らして考えたらおかしいだろ!」という言葉を、呑み込むことがある。


そんな中で起きた、不祥事。直接誰かの身に危険を生じる行為ではない。しかし法令上の手続きを踏む、というあまりに当たり前のことを一部の部員が怠った。一部の不届きとしてでなく、それを生み出した土壌があったとして、部全体で重く受け止め、反省し、これからの糧とできるか。


3ヶ月に上った活動停止を経て、動き出すわれわれは、周囲の信頼一切を失ったところから再スタートを切る。


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