試行錯誤


平日と同じように、朝食までの家事を片付けると、ウィダーインゼリーと冷蔵庫の残り物ドリンクをかばんに突っ込んで射場へ向かった。


ちゃんとスコープを立てて、朝から自分のためだけに練習をするのは、随分久しぶりのように感じる。
あまり状態は良くなくて、据銃の練習で30分くらいかける。ノプテルで練習した時の感触がどのようなものか確かめる。
家で練習するとフローリングのラインがあるので、標的と姿勢の位置関係がわかりやすい。仮想的に短い距離でやらなければならないので、それは助かっている。射撃場では交換器の関係で斜めに立つことになる。やってみながら調整を繰り返すのではなく、ある程度一発で合うようにと、それなりの工夫はしていたのだけれど私はあまり上手くない。体幹の面と標的の位置とを合わせるのだから、「回転」の関係の調整に徹すれば、シンプルに合わせられるのじゃないか、と今更ながらこんな部分で方法を試行錯誤した。絶望もしないが、たいしてこれといった手応えも得られないまま、ひと通りのメニューは終わった。


できるだけ早く帰ってやらないといけないと思う。昼食をのんびり食べる時間が惜しい。12時くらいまで立射をやった後、ゼリーだけ吸い込んですぐ伏射にとりかかる。こちらも、新しいジャケット、新しいスリングで、おっかなびっくりで撃つ、という具合だった。一応撃てる、ということだけ確認して、今日の練習はおしまい。取る姿勢に変わりはないのだが、それを実現するために、セッティングを合わせる試行錯誤を相当にやらないといけなかった。こういう時は、パフォーマンスのの方で何か収穫を得ようとするのは無理である。いろいろ細かい無理をするので、様々な「感覚」について「ニュートラル」がわからなくなっている。そんな時の「ニュートラル」を幻と気づかずに追求すると、酷い目に遭う。


15時には片付けを終えて、引き揚げた。何か特筆すべきことがあるわけではない。こういう「普通の」練習を普通にすることが、今の私には必要である。


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