ネットオークション


どうしても欲しいんだけど、オークションに出てるから買ってもいい?
と何日か前に相方に尋ねられた。
なになに、と尋ねると、A型のベビーカーだった。


狙っているのは、コンビの「ドゥキッズ4」という、そのまま車のベビーシートになるバケットと、キャリー部分にセパレートできる優れものである。
そのバケット部分を、娘の生まれたときに続いて、今回も妹のところから借りており、現在愛用している。
車以外の場所でもゆりかごのように使えて、そのままハンドルでどこへでも担いでいけるので、とても便利なのだ。
娘と二人で移動するには息子を乗せたバケットを担いで歩く、というのがどうにも厳しい、下のキャリー部分が欲しいのだ、ということだが、それはとてもよくわかる話だった。
この機種はすでに、後継のものに切り替わっていて、新規にはそれと全く同じものは売られていない、というのが、「オークション」たるゆえんである。
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先週の木曜日、疲れ果てて子どもと寝ている相方を横目にPCに向かうと、そのオークションが終わり間際になっていた。
あ、これか、と眺めていると、終了15分前になって入札額を逆転された。
あらら、どうしたものか、と困る。私は、こういうのをやったことがない。どんな風に張ればいいか、どの程度無理してでも落したいのかが、よくわからない。
仕方なく相方を起こす。


寝起きの顔で「んー」、といいながら、相方はポンと額を上げた。
100円スタートで、2000円強を巡って推移していた攻防が、一気にヒートアップする。
何円ぐらいだったら「買い」かなあ、と私なりに考えるけれど、送料込みで1万円以内に納まるなら、必要なものなんだからいいんじゃないかなと内心で思う。
どんなもんなの?と相方に尋ねてみると、「同じ商品がほかにも複数のオークションに懸かってて、ここは安いんだよねー」、と言う。
画面を切り替えてくれたが、複数のオークションサイトを横断して商品を検索してくれるところがあり、確かに他は少なくとも8000円以上、もっと高いところもあった。
へぇー、こんな風に確かめながらやるのかあ、と感心する。


相手は一人。小刻みな応酬になる。
相手は、どのくらい欲しいなあと思ってるのかな、どんな人なのかな、ひょっとして出品者だったりするのかしら、と画面を見つめながらあれこれ思いが巡る。
応札があるたびに、オークションは延びていくから、「嵌まり感」がだんだん強く漂ってくる。
譲ってあげた方がいいのかなあ、と二人で悩みながら、ちょこちょこと値段を上げた。
4500円まで上げたら結果的に競り勝ってしまい、購入できることになった。


品物は月曜日に届いた。
相方がカバーなどを外して一通り洗った。今日、それらが干し上がったので、初めて使ってみた。
バケットを腕にかけて担ぎ上げていたのが、パチンとバギーにセットできるようになって、荷物と一緒に軽々と地下から家まで押して上がれるようになった。
車輪の音は静かで、8輪の足回りがとても安定している。息子はすやすやと安心した寝息のまま、運ばれていた。


ああ便利だなあ、と感動する。道具による恩恵というのは、本当に身に沁みるようなところがある。


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