50mランクリスト


5月のはじめにドイツのズールでジュニアカテゴリーのチャンピオンシップが開催される。
ジュニアカテゴリーは、21歳までなので、高校生と大学生の1・2回生が対象となる。
すでに高校側は代表選手を決めており、今日明日の二日間で、大学生側の枠である男女各2の派遣選手をダブルマッチで選考することになっている。
また、今回の選考会を利用して、3年越しの強化プログラム対象選手も同時に選考することにしている。


同じ会場の50mレンジでは、50m種目のランクリストマッチが行われている。
社会人や、選考会に後輩を連れてきた上回生の学生射手がこちらにエントリーしていて、会場はとてもにぎやかである。


私を含む選手強化のコーチ陣は、選考と運営補助、および今後の強化についての話し合いのために選考会に来ているのだが、遠路はるばる、自分も撃てる試合をやっている会場まで来て、撃たずに帰るのはあまりに惜しい。
選考会儀は2日目だし、撃っても選手の観察を翌日に十分にできるので、了解を得て初日の今日は撃たせてもらうことにした。


50mは、試合で撃つのは昨年の7月以来。練習についても、10月に立射を1度、先日の合宿指導の合間に伏射を1度少し撃ったきりだ。
膝射にいたっては7月以来ということになる。大変な1年だったのだなと、改めて思う。
もう、久しぶりにちゃんと撃てる、というだけでとてもうれしかった。


伏射については、先日感じた「注意するポイント」を変えることについて手ごたえを確かめたいし、立射はARの収穫をどう反映できるか、10月に身体とフィットさせる上で問題のあったセッティングを修正したのでその辺りもどうか確かめたい、膝射は指導を繰り返す中で、目指すものに変化はないが、整理が進んで、曖昧にしてきた箇所が新たにわかってきたのでそれを観察したい。
わくわくしながら試合に臨んだ。


伏射は9点3連発でスタートしたが、フォームと内的なチェック点に確信があり、あせらずに続けることができた。結果的にこのシリーズ97。次のシリーズのはじめに、銃のあるべき位置について少し誤りがあって2発はずしたが98。後は100・99だった。最終弾を残り1分を切ってあせってはずしたのは惜しまれるが、非常に充実した内容だった。
ブランクから、うまくプロセスが進まず、はじめからやり直すことが増えたために時間がかかったが、これまでと違う次元で撃てている手ごたえが十分にあった。


立射はだめだった。10月に一度練習した時と今では、使っているバランスやフォームが変わっており、その時に合わせてあるセッティングは今の撃ち方にフィットしなかった。レンチで調整しながら試射に時間をかけたがうまくいかなかった。久しぶりの射撃で、伏射で右腕に疲労が来ていたことも悪い方に作用した。
バランスがデリケートで撃発時に崩れることが多く、大きな失点によって9割そこそこにしかならなかった。


膝射は、バランス・静止は非常にうまく取れた。半年以上していなかったとは思えない出来だった。「右肩の形」と「上背の撓み」と「銃の重心軸」の3者をどう組み合わせるかが曖昧で、少し検討する必要のあることがわかった。
撃発前の静止が、撃発を境に急激に失われるところに問題が現れている。
94・95・97と良くなっていたのにS4の途中で7を撃ってからおかしくなり、このシリーズ91。377に終わった。
トータル1134。平凡だが悲観するような点数ではない。

内容的に、ようやく装薬銃でもARで格闘している次元で射撃を出来そうな感じがしてきて、すっかりうれしくなってしまった。


試合後はきれいに片付けて、すぐ選考会の選手観察に戻った。
ここまでの成績を見ると、珍しく男子の方に見所のある点数が散見される。
選考は頭を悩ませることになりそうだが、これはうれしい悲鳴である。
明日も引き続き、そうなることを願う。


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